熱力学など、勉強ログ

主に熱力学。授業内容というよりは勉強の疑問と解決のログを目指します

加工硬化メモ

塑性域の変形において応力ひずみ曲線は右上に伸びていきます
つまり、ひずみを増加させるために必要な応力もまたどんどん増えていくということで、ひずみの増加に伴い(塑性変形の進行に伴い)変形に必要な応力が増加する
この現象が「硬くなる」、加工硬化の意味だと私はとらえています
その原因は転位の振る舞いでよく説明できます
変形→転位が増殖,蓄積→転位どうしの相互作用による抵抗が増加
といったプロセスのようです

加工硬化は次の3つのステージに分けられるといいます
第I段階(容易すべり領域)
第II段階(直線硬化領域)
第III段階
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応力ひずみ曲線における対応は上図のようになっています

第I段階では最もすべりを起こしやすい主すべり系のみが動きます(2次すべり系も少し活動するみたいですが)
加工硬化の度合いは低いです

第II段階では2次すべり系が(第I段階と比べ)本格的に活動し始めます
これにより転位は複雑に絡み合い、固定されます(転位の蓄積)
加工硬化の度合いは最大となります

第III段階では交差すべりにより転位が障害物を迂回するなど、一部の転位が再び動き始めることで加工硬化の度合いは下がります
この現象は動的回復と呼ばれます